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コーポレート

プライサーは遠くて近い国キルギスの医療従事者を全力でサポートします


はじめに

遠くて近い国。

中央アジアに位置する小国キルギス共和国(※以下、キルギス)を一言で表すなら、そんな感じでしょうか。

なにしろ日本からの直行便はなく、少なくとも一回は乗り継ぎをして入国するまでにはほぼ一日を要します。人口は620万人で、国土の面積は日本の約半分。

主要産業は農産・畜産業で、日本では良質なはちみつの産地として知られています。日本は主要援助国のひとつであり、1995年に市場経済化促進のための人材育成を目的とする「キルギス日本人材開発センター」を首都ビシュケク特別市(※以下、ビシュケク)に開設。

在留邦人数は150人前後ですが、ビシュケク国立大学に「日本語日本文学講座」や日本語学校も数校と日本語の習得にも熱心で、親日家が多いのも特徴です。

 

 

在日キルギス人が550人前後の日本でキルギス人に会うことはかなり希なことですが、プライサーではビシュケク出身のヌルランさん、セイルさんがエンジニアとして働いています。

日本語も流ちょうなセイルさんに母国の魅力を訊ねると「大自然といろんな食べ物がありますね。物価も安いです」とのこと。

国土の9割が標高1,500mというキルギスは自然が豊かで、ビシュケクから東へ180kmに位置するイシク・クル湖は別名「中央アジアの真珠」あるいは「キルギスの海」と呼ばれている、琵琶湖の約9倍の大きさを誇る美しい湖です。

他にもシルクロード世界遺産に含まれている遺跡やロシアの面影を残すカラコルの町並みなどの見どころが各地に点在しており、日本でも公開された映画「馬を放つ」では遊牧民の素朴な暮らしと広大な自然が描かれています。

 


キルギスを支援する理由



自然が豊かな反面、資源に乏しいキルギスが注力しているのがIT人材の育成で、ビシュケクに設置された「ハイテクパーク」には2019年8月に設立された現地法人プライサービシュケクをはじめとするIT系企業約100社が入居。海外への出稼ぎが当たり前になっている現地の雇用に多大な貢献をもたらしています。

では、なぜ、キルギスなのかと申しますと、プライサーのスタッフにビシュケク出身のヌルランさんがいたからに他なりません。

東京で仕事に取り組んでいた彼は故郷に恩返しがしたいと現地法人の設立をプライサー代表の石津に持ちかけ、自身の豊富な人脈を活かして現地のITスペシャリストを集ったのです。

CEOを務める小松は文化や慣習の違いに戸惑いつつも「想像していた以上に国際的な組織と関わるようになり、新しい視点で仕事を見られるようになった」と、たしかな手応えをつかんでいます。

現地スタッフはみな勤勉で、遅刻する人が一人もいないのは誇るべきところです。
しかし、新型コロナウィルスは容赦なく、スタッフ4名が相次いで感染する事態に。幸いにも重症化することなく、現在は復帰して仕事に取り組んでいます。



拡大する新型コロナウィルス


一時期ほどの勢いがなくなったとはいえ、新型コロナウィルスはキルギス全土に拡大しています。2020年8月27日のデータを日本と比較してみましょう。
 

キルギス 人口:620万人 感染者数:43,459名    死亡者数:1,058名

日本(27日0時発表) 人口:1億2593万人 感染者数:64,668名 死亡者数:1,226名
 

となっています。キルギスにおける100万人あたりの感染者数が世界平均の倍以上である6,671名に対して日本は522名であり、死亡者数についても同じことが言えます。

キルギスが日本の半分の面積であることや人口の少なさから考えれば、感染率及び死亡率の異様な高さがうかがえます。首都壊滅の危機に直面したビシュケクは3月末から5月頭にかけてロックダウン。

外出は薬局、病院、スーパーのみが許され、その際は場所と日時を紙に記入するという厳格なもので、経済は止まり仕事にも行けない状況に市民は打ちひしがれました。

当初は新型コロナウィルスの存在そのものに懐疑的だった人たちも、知人・友人・親族・家族の死を目の当たりにすることでようやく危機感を持つようになりました。
 


 

ロックダウン解除後の6月には感染者が一気に増え、二度とロックダウンの苦しみを味わいたくない市民はみな感染防止のルールを守るようになり、ここ最近は落ち着きを取り戻しつつあります。

ただ、誰もがこれからどうなるかわからない状況に直面しています。キルギス経済を根底から支えている出稼ぎ労働者はロシアやトルコから帰国を余儀なくされ、自国の失業率の高さに失望してSNSに不平不満を吐き出しています。

ローンを組んでいる人は政府が金利を下げることを望んでいます。全教育機関は携帯電話を使用したオンライン授業に入っており、複数の子を持つ親は端末を借りたり、ローンを組んで端末を購入したりと四苦八苦しています。

主食である肉とパンの原材料である羊肉と小麦粉も新型コロナウィルスを機に高騰しています。それゆえ今はみな、誰を信じればいいのか、どうしたら生きがいを見つけるられるかに困っています。

プライサービシュケクのジャミリャさんは今のキルギスを「暗い森」と表現したあとで、通勤中のバスで起きた悲しい出来事を語ってくれました。
 

“朝、満席ではないバスに乗って職場に向かっていると、バス停でマスクをしないで夏用の帽子をかぶった20代の男性が乗り込んできました。

運転手はまず最初にマスクをしていないことを注意しましたが、男性は聞き取れなかったふりをして黙っていました。しばらくして運転手がもう一度注意すると、男性は「マスクを持っていないから次のバス停ですぐ降ります」と答えました。

すると席に座っているお姉さんたちから「マスクをしていないでバスに乗るのは無責任だ」という批判が始まり、2人のお姉さんは「マスクがなかったらかぶっている帽子をマスクの代わりに使いなさい」と声をかけました。

男の人は帽子をマスクとして使いましたが、目的地まで行かずに次のバス停で降りてしまいました。”

 


医療従事者をなんとかしてサポートしたい

キルギスの首都ビシュケクですら医療水準が低く、旧ソ連時代に建てられた病院は老朽化が目立ち、設備も十分なものではありません。

隣国カザフスタンやウズベキスタンが新型コロナウィルスを機に大きな病院を設立したのに対して、レストランや学校の体育館を病院として利用しています。

健康保険は安いものの薬や点滴は慢性的に不足しており、ビシュケク市内の薬局前では群衆が薬の到着を待ちわびています。

医者は専門医がいないうえにレベルも低く、ロシアの医師団100名が地方でボランティアとして活動するなど、他国に頼らざるを得ない状況です。

 

上の写真はSARS、肺炎、インフルエンザの症状が表れた患者のための一時的な医療センターで、粗末な設備に日本との歴然たる差を感じます。

治療に必要な点滴、心拍数モニター、酸素濃縮器はもとより、現場の最前線にいる医療従事者は多大なリスクにさらされているにもかかわらず、マスク、防護服、手袋が不足しているのです。

そのうえ医者ですら掛け持ちでバイトしなければいけないくらいの低賃金で、あたたたかいごはんを食べることすらままならないのです。

そのためボランティアによる医療従事者にあたたかいごはんを提供する活動や、ミュージシャン主催による医療従事者向けの慰労コンサートが行われています。

 

さいごに

コロナ禍のキルギスにおいて、医療従事者の存在は一筋の光明と言えるものです。彼らの献身的な治療により、私たちの仲間も無事生還することができました。生まれたところから遠く離れて愛媛で働いているセイルさんも母国のことを心配しています。

お金で支援するのか、物資を支援するのか、現時点では不確かなところも多々あります。

ただ、ひとつだけ明確に言えることがあります。
プライサーは何らかのアクションを起こします。
遠くて近い国キルギスの医療従事者を全力でサポートします。

私たちの今後に期待していただくと同時に、みなさんにも支援の輪を広げていただければ幸いです。



※記載の所属・業務内容は、取材時点のものです。

どいて!おばけ!