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デザイナーチーム

平井 恵

” デザイン意識高い系女子。”

Webからグラフィックまで、プライサーのデザイナーとして数多くの案件を手がける平井恵はそう呼ぶにふさわしい。


 

「小さい頃から画を描くのが大好きで」というのはよくある話だが、平井は中3の時に衝撃的な出会いをする。時代の寵児と呼ばれた新進クリエイターとの出会いを機に、亀倉雄策(東京オリンピックや大阪万博のシンボルマークやポスターで有名)をはじめ、梅原真、水野学という日本デザイン界のレジェンドにすっかり魅了されてしまう。
 

「これはすごい世界だなと。それで紙の世界に飛び込もうと思ってデザインの勉強を始めて、進学するなら絶対とべぶん(愛媛県立松山南高等学校砥部分校デザイン科)と決めていました」
 

それからは行動が早い。「どうしたらこういうとこができるのか?」という疑問から、初代iBookとアドビのソフトを購入。高校も予定通り合格。技術的なことを徹底的に勉強するために、毎月のお小遣いのほとんどは『Mdn』や『design plex』というデザイン雑誌や書籍のために費やした。その後は京都の美術系大学でスキルと感性を磨き、世の流れがWebデザインに移行しつつある時は「flasher」に憧れつつも結局はWebデザインの道を選んだ。


京都、松山でデザインの最前線で働いてきた平井のキャリアは10年を越える。本人のポートフォリオに掲載されているWebサイトの業種は、建築系、飲食系、自動車系、ブライダル系、林業系など、多伎にわたっている。手がけるデザインすべてに言えるのがユーザーフレンドリーと、見る人を唸らせるスタイリッシュさ。その理由は先に挙げた亀倉雄策をはじめ、多彩な活動で知られるブルーノ・ムナーリ、BRAUN社の製品を数多く手がけたディーター・ラムスらの影響によるものである。
 

これまでに手がけたWebサイトはポートフォリオに登録している

 


「彼らのデザインって無駄がなくて、薄っぺらい表面的な良さじゃない、永く使われるものばかりなんですよ。で、ディータによる“良いデザインの十箇条”というものがあって、“良いデザインは革新的である”と同時に“良いデザインは可能な限りデザインをしない”ということでもあるんですよ。そういうところが、自分のデザインのなかに色として出てるんじゃないかなと思います」


プロダクトデザインで言うところの機能美の追求かと思いきやそうではなく、平井は「機能美だけではダメなんですね」と前置きしたうえで、アートとデザインの違いについて持論を繰り広げる。


「答えを求める先が違うと思うんですよ。アートは自分の中に答えを求めて、デザインは相手の中に答えを求めていく。なので問題の出所も違うし、解決方法も違う。そこでどうすればデザインが記憶に残るかというと、ひとつは爆発的なファーストインプレッションから受ける刺激なんですよ。ここをこうしたらこうなるというデザイン理論どおりに作ったとしても、物を見るのは人間じゃないですか。人間は感情で動いているわけだから、その感覚を一番刺激する要素をデザインの中に入れてないと、さわってももらえないし、使ってももらえないし、永く使ってもらおうなんて夢のまた夢で。見た目だけにこだわったらダメとよく言われてるけど、それもちょっと違う。やっぱりとっかかりは見た目だし、感覚の部分に訴えるものですからね。もちろんユーザーのターゲットによってそのテイストは変わってくるんですけど、自分がデザインするうえでも一発目のインパクトは大事にしてます」

 

手書きが好きでメモもほとんど紙でとる、という彼女の長年愛用アイテムたち。
モレスキンの黒いノート /LIFEの罫線+方眼mixノート /メガネ /CARAN d`ACHEのえんぴつ


モノトーン基調のシンプルでシックだけれど“イイもの感”のある洋服を日常的に着こなしていることや、落ち着いた雰囲気も関係しているのだろう。平井は「すごく女性的に見られるんですけど、モニュメントや紋章とか男性的なデザインが好きで」と、意外な一面を語る。

また、大学時代はローバーミニに乗っていたくらいのクルマ好きで、鈴鹿のF1やスーパーGTにも何度か足を運んでいる。さらに大学の卒業制作では自らがさまざまなクルマのフロント部分を撮影して、それを連想させる人物を並べた写真集を作っているのだから筋金入りと言うべきか。



クルマのデザインは丸みを帯びていたりカクカクしていたりと、時代ごとの流行りがある。平井が仕事にしているWebデザインの世界も色やフォントひとつとってもトレンドがあるわけだが、彼女はいたって冷静に時代の移り変わりを見据えている。


「寿命があると言われているデザイナーにとって、アイデアの根源はものを見ることなんですよ。知識を吸収することとか、経験を自分の身体に染みこませるということなんですけど、それをやめてしまったらデザイナーは終わりなんですね。大きい顔してふんぞり返っているようなデザイナーはダメなんじゃないかな」


先に挙げたクルマと人物の写真集もそうだったが、平井にとって大事なのはあらゆる角度から物や人を見ること、捉えることである。


「Webサイトをデザインする際は必ずその業種について調べるんですよ。そうすると商品が出来上がるまでの工程を知りうることができる。普通はそこまで知らないですよね。デザイナーは知的好奇心がすごい刺激される職業なんで、そういうところが面白いなと思っています」
 

大学時代に制作した作品 左がポートフォリオ、右が卒業制作


今後やりたいことに関しては「動画もそうですけど、インタラクティブなものに着手できれば。UIデザインももっと極めたいし、使いやすいサイトやアプリを作るために認知心理学を勉強中です」と、十代から始まった知的好奇心はとどまることを知らない。

どいて!おばけ!