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エンターテイメント

あかがねの町にこだまする和太鼓ヘヴィロック~SAYURiインタビュー~

 

SAYURiは愛媛県西条市~新居浜市を拠点に活動する和太鼓ヘヴィロック・バンド。2012年にKatsu(Vo)とKentaLow(B)が結成、現在は2人に加え、Haru(和太鼓)、Shoei(Dr)というラインナップ。和太鼓を前面に打ち出したアグレッシヴなパフォーマンスの定評は高く、前身バンドも含めれば、山嵐、RIZE、P.T.Pらの松山公演のサポートアクトを務め、2017年の10月に小倉で共演したKEMURIの伊藤フミオにいたっては「あのSAYURiってバンド、カッコいいよね」と絶賛。2018年7月にはAGGRESSIVE DOGS のUZI-ONEをプロデューサーに迎えた、1stフルアルバム『志國ノ師子 -Shikoku No Shishi-』で全国区に名乗り出た。11月に地元・新居浜市ジャンドールで行われたレコ発ライヴでは地方都市としては異例の120人を動員。音楽ライター/インタビュアーとして国内外のアーティストの栄枯盛衰を目の当たりにしてきた筆者が、胸を張っておススメできるバンドである。そこでSAYURiのことをもっと知ってもらうべく、今治市のリハーサルスタジオでインタビュー。
 

正式メンバーに和太鼓奏者が在籍する理由

ーーバンドにおける自分の役割を漢字一文字で表すなら? 


KentaLow:繋ぐの「繋」。そのココロは、ギターとドラムの間に入ることによって、バンドのアンサンブルが出来上がると思うんで。


Katsu:「油」です。バンドの中心人物でもあるので、すべてが円滑にいくように。時として爆発させるという意味もあります。


Shoei:「楽」。ライヴではいつもお客さんを楽しませるという心意気でやってます。


Haru:爆弾の「爆」(笑)。いいも悪いもなんですけど、バンドのなかで爆発したいという。



ーー最初はどんなバンドにしようと思っていたんですか?
 

Katsu:和ではなく『魏志倭人伝』の「倭」。まずは最初に倭を基調とした、外国人にも通用するような音をやりたいというのがありましたね。音階だったり、楽器では和太鼓や琵琶などを試しながら、全体的には倭ならではのオリジナリティを追求する。バンド名にしてもインパクトがあって覚えやすくて、なおかつ倭を感じる名前を考案していて行き着いたのがSAYURiだったという。映画『SAYURI』(2005年)の影響も多少はあると思いますけど、言葉の響き的なところが大きいですね。


ーーバンドの精神的な部分で一貫しているのは?


Katsu:それは歌詞にも表れてるかもしれないですけど、日本人のプライド的なところは自然と出てきますね。それにちょっと反体制的な要素もあると思う。


――SAYURiが楽曲を作るうえで、大前提にあるのは?


Katsu:それは間違いなくリズムありきですね。

 

東京と地元を行き来するなかから生まれた1stアルバム





ーー今回のアルバムのプロデューサーに「ハードコア・レジェンド」と呼ばれるUZI-ONEさんにお願いすることで、周囲からはマニアックな音楽をやっているバンドと思われてしまう、恐れはなかったですか?

 

Katsu:AGGRESSIVE DOGSを知ったのが2009年くらいで、それ以前の過去の作品も聴いたこともなく、言い換えれば先入観がまったくない状態で知り合ったんですよ。彼らの『蒼き餓狼』というアルバムの頃で、音と和の要素が全面に出ているところに惹かれましたね。すべて日本語歌詞でという影響もあり。心のどっかで、いつか自分たちにアドバイスしてもらえたらというのは考えてましたけど。


ーーUZI-ONEさんはSAYURiのどこに惹かれたと言ってました?


Katsu:「まず、売れることはないだろう。曲も良くないし、見た目もたいして良くないし、ライヴはまぁまぁだなと。あとは心意気だけや」と(笑)。「土地が自分の昔とかぶるとこがあった」とも言ってましたね。


ーーUZI-ONEさんの出身地である北九州小倉も新居浜と同じような工業都市ですもんね。


Katsu:そう。「工業地帯の何もないところから何かを作ろうとしてるという気持ちを感じた」そうです(笑)。


ーーアルバムはこれまでの集大成的なものと捉えればいいですか?


Katsu:集大成と言うよりは、現時点でできることを詰め込んだみたいな。インスト以外はすべてライヴのレパートリーですし、1st EP『塵外』(2013年)の収録曲『In the end』、『Let me go』もライヴの定番曲なのでアレンジを全部変えてレコーディングしました。


ーーその2曲に顕著なんですけど、よりドラマティックかつスケール感のある方向に来てますよね。それは意図したものですか?


Katsu:意図したものではあるんですけど、プロデューサーのUZI-ONEさんにアドバイス受けるなかで、原曲の贅肉をどうやって落として、なおかつ内容を濃くするというのはありましたね。


ーー単なる引き算とは違う?


Katsu:引くだけではさっぱりしちゃうので、全体像が崩れないようにいろいろ組み替えたり。たとえば同じフレーズを繰り返さない、若干変えているとか。同じことが繰り返されると人間の耳は飽きるんで、多少変えることによって飽きさせないというのは意識しました。あと、ライヴ感を考えた曲順にしてますね。


ーーアルバムを象徴した曲は?


Katsu:『In the end』になりますね。SAYURiというのが一番わかりやすく表現されてると思います。


ーーそれはイコール激しさだったり切なさだったりということですか?


Katsu:そうですね。まず最初にメロディアスというのがありながら、そこに和楽器と重低音サウンドというのが一番わかりやすく表現されてるんじゃないかと。





ーー楽曲の世界観に目を向けると1st EPは「喜怒哀楽」の「怒」と「哀」から一筋の光明を見出そうとしてる感じですけど、今回は喜怒哀楽を臆面もなくさらけ出してるような印象を受けたんですよ。そういうところありますか?


Katsu&KentaLow:それはあるかもしれないですね。


Katsu:1st EPの時は精神的にどよんとしている状況のなか、いろんなことがあったので抽象的な表現が多かったんですよ。今回はいろいろ経験して、環境も新しい環境でしたしね。もちろん産みの苦しみはあったんですけど、新しいことにチャレンジすることによってものすごく勉強できたので、自分は楽しかったのかもしれなないですね。

 

キーワードは「よりアグレッシヴに」(Katsu)


ーーアルバム作るうえでキーワードになった言葉は?


Katsu:よりアグレッシヴに、じゃないですかね。僕が一人で言ってただけですけど。


ーープレイヤーとしては、どういう想いでレコーディングに臨んだんですか?


Shoei:僕的には、全力でやるしかない、という。そして、とりあえず観てくれ、聴いてくれ、感じてくれという。


Katsu:唄を録る時にうまく唄おうとなるんですけど、きっちりと言うよりは、内面的な部分をどうやったら収められるのかを考えてました。あと、歌詞は英語で書いているんですけど、ひとつひとつのワードを振り返ってみたり、書いた当時のことを思い出しながら、何度も読み返しましたね。


KentaLow:自分はベースってことで、とにかく和太鼓の音が気になるんですよ。和太鼓の音をどれだけ音源の中に閉じ込められるか。違和感のないようにということですね。それは楽しみでもあったし、プロのエンジニアさんがやるとどうなるんだろという。


Haru:僕は音って言うよりかは、これが世の中に出ることでやっと目立てると(笑)。


Katsu:叩くだけ叩いて、あとはエンジニアさんよろしくという。でも、これは彼の本音だと思います(笑)。
 



ーーアルバム・タイトルにはどういう意味があるんですか?


Katsu:3年前に自主企画のイベントを始めた時、対バンとして来てくれたUZI-ONEさんが「四国でやるんなら、その言葉を入れようよ。漢字もちょっとひねってもうちょっとカッコいいのをあてがってみたら?」というのでつけたんですね。イベント・タイトルですよね。その響きがすごい気に入っていて、アルバム・タイトルをどうしようかなと思った時に四国から発信するというのがひとつで、地元・四国を前面に出していこう。師子はライオンという意味の昔の漢字でもあるんですけど、師匠の「師」と子どもの「子」というので、僕的にはこれをきっかけにちょっとこう、まぁ僕らもいい年齢なんで、のちの若いバンドマンに聴いてもらうきっかけになれば。継承していくという意味合いを感じていますね。


ーー今回のアルバムも含め、SAYURiってどんなバンド? と訊かれたらどういうふうに説明しますか?


Shoei:日本のリズム、日本人ならではの和太鼓のリズムを大事にしているところを聴いてほしい。


KentaLow:僕はやっぱり聴く人が心揺さぶられるような、そういうバンドですね。


Haru:ラウド系のミュージックなんですけど、歳を召された方からもいいねという声をたくさん頂いたんですよ。一般の人も巻き込んでいきたいというか、年齢に関係なく誰でも聴けるような感じになってるんじゃないかなと。


Katsu:みなさんいろんなジャンルの音楽を聴かれてると思うんですけど、そのなかでも異質なロックバンドという印象を抱かれたら、それは一番の歓びですね。


ーー異端でありたい?


Katsu「そうですね。〜みたいとかっていうのはあまり好きじゃないんで。まぁ、これはこれだよね、みたいな」(撮影/文:岡部昭彦)
 

 

SAYURiオフィシャルサイト
http://sayurijapan.com/

SAYURi Facebook
https://ja-jp.facebook.com/sayuri.japan.shikoku/

撮影協力
今治ジャムサウンズ





 
 

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